「『失敗への寛容』さが増えれば、日本の起業文化活性化につながるか」では、「日本で起業家を増やすためには何が必要か」とのVECによるアンケート設問を取り上げました。
今回は、この設問に対する回答を掘り下げます。
日本で起業家を増やすには何が必要か?
改めてとなりますが、「日本で起業家を増やすには何が必要か?」という設問については、「再チャレンジ・セーフティネット」、「意識・風土・風潮」が過去3年間で上位2つを独占しています。
「再チャレンジ・セーフティネット」は2022年に逆転し、回答全体に占める割合は継続して増大しています。
さらに、現役のスタートアップ経営者が「日本で起業家を増やすには何が必要」と考えているアイデアが、アンケート結果で併せて紹介されていました。
引用して紹介します(下線はReサラがひいています)。
- 失敗しても再チャレンジのチャンスがある環境にしてほしいと思う。
- 起業に失敗した人が日の目をみる姿をあまり見ることがないためか、失敗のリスクを強く感じてしまう。
- ベンチャーで成功した人だけでなく失敗した人も、ベンチャー界隈からすると非常にほしい人材。失敗したといっても、その人にはベンチャーマインドがしっかり備わっているはず。失敗した人の経験談は、これからベンチャーを志す人にとって、大いに参考になるだけでなく、チャレンジ精神の滋養にもつながると期待される。
- 成功体験を聞かされるよりも、失敗した時の処方箋的なノウハウを教えてもらったほうが、これからベンチャーをやってみたいと考える人にとっては、心理的なハードルを下げる効果があると思う。
- 一度失敗したらもう終わりという敗者復活戦のない仕組みが全ての原因と思う。
- 起業に失敗した際、連帯保証で支払いをどこまでもおいかける状況では起業したいと思わないのではないか。
- お金の調達については金融業者が多く、その多くは無担保の創業支援ではない。失敗後に破産するケースもあるので、結果的に起業家の再スタートを困難にする可能性が高くなる。
- そもそも、日本では、学校教育でも孤立行動は良くないとされており、社会的にも個人で起業すると社会的信用は落ちる傾向にある。身近なクレジットカードさえ作れなくなることがある。周囲も距離をおくため、起業して失敗したら孤立につながりやすい。
- 自分の強烈な意志と何度でもチャレンジできる環境。
- 失敗した人に厳しくなっており、チャレンジしたことを評価する仕組みにはなっていないので、評価軸を変えないと日本に起業の文化は生まれないと思う。
- 起業家の家族を守る制度があればチャレンジしやすい。本人はどうでもいい。
- 起業後のケアがもっとあると良い。
いかがでしょうか?
上記のコメントは大きく次のように分類できます。
<起業前>
- 失敗の経験を事例に
<起業後・経営中>
- 起業後のサポート充実
<起業失敗後>
- 失敗後のケア充実
- 再チャレンジの環境整備
起業後に失敗しないためのケアにとどまらず、仮に失敗してもそれを社会として受け入れ・前向きに活用することが望ましいと考えている現役スタートアップ経営者が多いというのが、分類してわかった結果です。
どこから手を付けるか?
上の分類では、「起業前・経営中に失敗の確率を下げるためのサポート」と、「失敗してからのサポート」の2つに更に大きく分類できます。
起業には失敗がつきものです。
成功が100%保証されることはないですし、どんなに起業後のサポートを充実させたとしても、外部環境など自らコントロール出来ない要因で成功にたどり着けない可能性は否めない事実です。
起業家自ら、失敗があることを覚悟した上で挑戦への一歩を踏み出すためにも、仮に失敗した時のサポートが充実しているほうが、起業家の起業前の心理的負担は軽減されるのではないでしょうか?
ご意見あれば、問い合わせフォームなどから寄せてもらえると参考になります。
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